きのこに関するちょっとした情報をご紹介します。
現代のバイオテクノロジーの進化によって、「野菜工場(主に水耕栽培)」が現実のものとなり、その野菜は市場にも出回って、高評価を受ける農家も生まれてきました。「工場」と名前が付くと人工的で無機質な感じがしますが、このように緑いっぱいで清潔な「現代の畑」なのです。
このような野菜工場を見ると、キノコの「菌床栽培」は「野菜工場」と少し似ていますね。
きのこ栽培は原木栽培と菌床栽培
現代のキノコ栽培(販売)は、「原木栽培」と「菌床栽培」の大きく二つに分かれます。
原木栽培
樹木を扱いやすい大きさに切り(原木)、そこに菌を植え付け、林またはハウス内(日除けや湿度を保つのが目的で簡易なもの)で栽培したもの。主に春・秋に出荷。
菌床栽培
樹木を粉状に粉砕したものに、米ぬかやフスマ(麦のぬか)と水を加え、成形したもの(菌床)に菌を植え付け、ハウス内(湿度・温度管理ができる施設)で栽培したもの。年間を通して出荷できる。
各栽培方法の長所と短所
原木栽培
- 長所
- 天然物に近い環境で栽培している
- 「原木」から作ったというブランド的価値がある
- 短所
- 虫や害菌、環境汚染(大気・雨水)の影響を受ける
- 収量や品質が天候に大きく左右される
- 山間部での栽培は大変な重労働であり、後継者が少ない
菌床栽培(当組合の場合)
- 長所
- 完全無農薬栽培、かつ施設内の衛生管理によって高い安全性が得られる
- 年間を通じて供給できる安定性、利便性
- 材料、生産、加工(乾燥)、流通の経路を的確に把握できるトレーサビリティ
- 短所
- 「原木栽培」よりも味・香りが劣ると一般に言われている
- 設備投資・維持にお金がかかる
これからのキノコ栽培農家のあり方
世の中では「原木栽培」は味が良く、「菌床栽培」それに劣ると言われますが、私の考えでは、当組合の「菌床栽培」きのこは、「原木栽培」に劣るとは思いません。
培地原料を吟味・配合し、菌の生育管理、施設の衛生管理をしっかり行うことで、安全で高品質のキノコ生産が可能だと考えているからです。特に、加熱調理した時のジューシーさは徹底管理された菌床栽培の方が上だと思います。
それぞれに一長一短があり、どちらが優れているとは言えません。値段、味、用途によってお客様がどちらにするか選択されるのが良いのだと思います。
ステンレス槽で醸造された酒と、昔ながらに木樽で醸造されたお酒、個性は違いますがどちらも美味しいですよね。こだわって選び抜いた原料と酵母、そして腕の良い杜氏さんが揃えば「旨い酒」は現代式でもできるのです。当組合にはキノコに関わり続けて40年以上の組合長がいます。いわば組合長が「杜氏」。酵母の代わりにキノコ菌を、こだわりの国産材・県産の米ぬか・宝珠山の水で育てています。
お客様からいただくよくある質問
当組合は、自信を持って選び抜いたキノコをお客様に届けています。
ほんの数分間の日光照射時間で倍増しますから、どちらの栽培方法でもそんなに変わりません。
人も紫外線を浴びると体内で生成します。食物繊維量も栽培方法でそこまで劇的に変わりません。その他栄養素も保存方法、季節、原料で大きく変化しますので、一概にどちらが良いかはわかりません。
食べていただいた上で「原木よりも劣っている」と
お客様から評価を受けた場合は、そのお言葉を真摯に受け止め、
栽培方法の研究を積み重ね、
今よりも美味しいキノコを作り上げる努力を当組合は続けます。
菌床栽培でもどんこ風の椎茸は作れる
どんこ(分厚く傘がひび割れた乾燥椎茸)をよく見かけると思います。
あの椎茸の形は原木ならではとお思いの方がいらっしゃいますが、実は菌床栽培の椎茸でも同じ形は作ることができます。
シイタケ栽培キットをお買い上げになれば、嘘ではないことが証明できると思います。
こちらの記事も合わせてどうぞ
-
生しいたけの原産地表示が「本当の原産地表示」へと変わります
みなさんはしいたけを購入するときに気を付けて見ている表示はありますか?
原産地はどこなのか、栽培方法は原木なのか菌床なのか。
気を付けていても消費者には伝わらない・わかりにくいのが原産地表示でした。その原産地表示ルールが変わろうとしています -
おつまみアヒージョが”東峰村の「小さな宝」”に認定されました㊗
当組合の「きのこ逸品シリーズ おつまみアヒージョ」が”東峰村の小さな宝”に認定されました!
-
実験!乾燥きくらげ「水戻しで7~10倍になる」って実際どれくらい?
きくらげはきのこ類の中でもミネラルと食物繊維が豊富で、
その独特な食感が楽しい食材です。
ぜひ日々の食卓に。