アガリクスの薬効成分について
アガリクスの学名は、アガリクス・ブラゼイ・ムリル(Agaricus blazei Murrill)
通称「アガリクス」や「アガリクス茸」などと呼ばれています。
原産国のブラジルのピエダーテ地方の人々が、
他の地方と比べて健康的であることから、
「アガリクス茸」の効能に注目が集まりました。
免疫の働きを活発にする可能性があり、
結果として癌の発生予防や増殖抑制が期待されます。
また癌治療に伴う副作用の軽減、免疫賦活作用により、
薬剤治療の効果の向上、糖尿病や高脂血症の予防作用を持つと、
多くの書籍や販売者によって謳われています。
しかしながら、国立健康・栄養研究所は、免疫の活性化を含め、
ヒトでの有効性と安全性については、2011年3月現在、
信頼できるデータが見当たらないとしています。
ただし、アガリクスの有益な効果については、
以下に示すような動物臨床試験等の研究報告があります。
β-グルカン(β-(1-3)グルカン)による効果
きのこ、特にアガリクスに豊富に含まれるβ-グルカンは、
免疫細胞を増やすことで、免疫の活性化を促すと考えられます。
腫瘍(がん)だけでなく、風邪などの感染症、
花粉症(アレルギー)への効果も期待されているようです。
アガリクス に多量に含まれるβ-グルカンは、マウス実験において、
抗腫瘍、抗感染、抗アレルギー特性を有することが示された。
これらの効果は、NK細胞など免疫細胞への刺激によるものと考えられる。
アガリクスには、グルコースを主成分とする「β-(1-3)-グルカン」
という多糖体が含まれる。
この多糖体は、がん細胞による血管形成を抑制し、栄養を遮断することで、がんの増殖を抑える。Y.C. Niu et al, Oncology reports 21, 145-152, 2009
実験したマウス32匹中19匹でがん細胞の消失が確認され、
アガリクス多糖体を投与しなかったマウスに比べ、
生存期間が約2倍になったと報告H. Ito et al, Agricultural and biological chemistry 54, 2889-2896, 1990
アガリクスの抽出液を口から投与したマウスでは、
脾臓のTリンパ球数が増加した。
アガリクス抽出液は継続的な免疫作用に関係する、
Tリンパ球を増加させたものと考えられるM. Mizuno et al, Bioscience, biotechnology, and biochemistry 62, 434-437, 1998
単球やマクロファージは、初期の免疫作用で活躍する細胞。
アガリクス抽出液を投与したマウスでは、これらの細胞増加が確認された。
アガリクス抽出液は、免疫反応に関係する細胞を増加させると考えられるA. Nakajima et al, International immunopharmacology 2, 1205-1211, 2002
エルゴステロールによる効果
シイタケなどのきのこにも豊富に含まれる、
エルゴステロールは、がん細胞が増殖するために、
必要とする栄養を得る血管の形成を阻害します。
免疫細胞が直接がん細胞を攻撃するのではなく、
栄養補給路を絶つことでがんの増殖を抑えるようです。
面白いメカニズムですね。
アガリクスから得られたエルゴステロールを、
がん細胞を移植したマウスに投与したところ、
増殖するがんの重量が減少した。T. Takaku et al, Journal of nutrition 131, 1409-1413, 2001
気になる安全性や副作用について
以下の論文において、安全性が確認されています。
この研究を踏まえ、ヒトにおいても安全性試験が行われ、
十分な安全性が示されました。
きのこは食品ですから、薬のような即効性はありませんが、
副作用もありません。
しかし、食物繊維が豊富な食品ですから、
食べ過ぎるとお腹がゆるくなることがあります。
過ぎたるは及ばざるが如し。
バランスの良い食生活が一番です。
アガリクス摂取による有害事象は見られず、
十分な安全性が確認される。小林ら、薬理と治療 34, 1323-1341, 2006, 榎ら、薬理と治療 34, 1247-1257, 2006, 稲冨ら、薬理と治療 34, 1311-1321, 2006
当組合のアガリクスの培地は、サトウキビの搾りかす、
稲わら、とうもろこしの芯といった植物を主原料とし、
動物のフンなどは一切使用しておりません。
生産から乾燥、粉砕、包装、販売まで当組合で行う、
純国産アガリクス茸です。
アミノ酸豊富な美味しいきのこですので、
煎じてお茶にして飲むほかにも、だし汁、
佃煮、煮物等に調理して召し上がって下さい。