「福岡県産しいたけロゴマーク」を知っていますか?


『福岡県では、県産しいたけ振興の一環として、その魅力を広くPRし、
認知度向上を図ることを目的に、
「福岡県産しいたけロゴマーク」を作成しました。
ふたつのしいたけで「f」を構成。
「fukuoka(福岡)」「fresh(新鮮)」
「fiber(食物繊維)」「future(未来)」
といったメッセージを込めています。』

(福岡県ホームページより抜粋)

http://www.pref.fukuoka.lg.jp/press-release/siitake-rogo.html

メッセージに食物繊維が入ってる所が面白いですね。

それはさておき、このマークが入っているしいたけは、
「菌床となる木材は国産、菌床生産と栽培は福岡県で行っている」
ことが証明されたものにしか貼ることができません。

なぜこのマークが必要なのか。
きのこ博士がもの申します!

国産シイタケの現状

近年、東日本大震災の影響でシイタケ用木材の供給が激減。
それに伴って、海外、主に中国の菌床を輸入して、
国内でしいたけを発生させている生産者が増えています。

しいたけの発生を国内で行えば、それは「国産」表示ができてしまうのです。
皆さんが考える「国産」表示に対するイメージとギャップがありませんか?

本来国産表示とは、消費者のための表示です。
表示内容からどんな商品を選択して購入するか。
その選択の自由を保障するためのものなのです。

これは菌床栽培だけではなく、原木栽培でも同じです。
むしろ、原木用の丸太の方が手に入りにくくなったため、
海外から原木を輸入し、「国産原木シイタケ」として流通しています。

国産材の必要性

きのこの生産には広葉樹木材が必要不可欠です。
しかし、国内林業の衰退に伴って、木材供給元の業者さんが減っています。

手入れが放棄された針葉樹人工林における問題は、
多くのメディアでクローズアップされています。
それは広葉樹林人工林でも同じことなのです。

国定公園に指定されるような天然林の伐採は、
その生態系を激変させるために禁止されています。

しかし、きのこ栽培に必要とされる広葉樹林は、
人の手が入り、定期的に伐採されることによって、
その生態系が保持されているのです。俗に言う「里山」です。

「日本の山の風景」を保全するためには、国定公園のような天然林、
人の手が入る人工林その両方が必要なのです。
「木を切ること」=「自然を壊すこと」ではないのです。

国内でのきのこ栽培に関する木材利用

国産材の供給が減少している今日であっても、
大手きのこ生産会社はその生産量を年々伸ばしています。
これならば、木材の需要も高まって、林業者も潤う・・・

そうはならないのが、前述した「輸入した原木や菌床でも国産表示」、
そしてきのこ生産に「木材そのものを使用していない」生産方法です。

皆さんが普段食べているきのこ。ブナシメジ、エリンギ、エノキタケ。
これらのきのこは「コーンコブ」=「とうもろこしの茎や芯」が主原料。
木材を使用して生産している農家さんはごく少数です。

これでは国産材の需要が伸びるはずもありません。
それに対してシイタケは、やはり木材を使用したものが、
味、香り、歯ごたえ全てにおいて日本人好みになります。

(ヨーロッパでは麦ワラを主体として生産しており、
その歯ごたえのやわらかさと、マイルドな香りが好まれています)

当組合での取り組み

(農)宝珠山きのこ生産組合の菌床は、九州県産材を主原料とし、
東峰村の美味しい水と空気の中、管理された施設の中で栽培しています。
通年栽培を行っていますので、定期的に数トン単位で木材を購入します。

できれば福岡県産材を使いたいのですが、取り扱い業者さんが居ません。
九州産材の供給が今後も続くこと。そして東北林業の復興を願ってやみません。

シイタケ生産が終わった菌床は、カブトムシの養殖や堆肥に利用して、
最終的には土に還します。シイタケ菌床の堆肥は評判がとても良いです。
県内外から村まで取りに来てくださる方がたくさん居ます。

山で生産されたものが、きのこ栽培に利用され、最後は畑で土に還る。
そこで発生したCO2はまた森で吸収されて木材の中に貯蓄される。

木材は成長する時にCO2を多く貯蓄します。
きのこ栽培に適した15~30年生の若い広葉樹林を定期的に伐採することで、
効率よくCO2が森に吸収されるのです。決して環境破壊ではありません。
(前述した、古来から残る天然林の伐採は環境破壊です)

重要なのは、定期的に伐採されること。つまり、需要が途切れないことです。
我々はこの循環農業を途切れさせないためにも、生産を続けていきます。


まとめ

・ 「福岡県産しいたけロゴマーク」 は生産全般が福岡県産である証

・きのこにおける国産表示は原木や菌床が国産であることを示していない

・国産材の使われているきのこを消費することは、
 日本の林業、環境保全などにも関わってくる。

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